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ナルミが何故あんなラインを送ってきたのか。
その真相は、葬儀が終わった後でナルミの母親から聞くことが出来た。
ナルミの母親は、涙ながらに答えてくれた。
《あの子はね、笑ってる元気な自分の姿だけカズ君に覚えていてほしいんだって言ってたの。病気で笑うことも出来なくなる自分の姿を好きな人に見せたくないんだって、ね。カズ君にお前の笑顔を見てると、こっちまでなんか元気になってくるから、ずっとその笑顔でいろよって言われたからって‥‥‥‥あの子は自分の余命をなんとなく分かってただろうから、カズ君に心配かけさせまいとしたのかもね》
それを聞いた瞬間、俺は込み上げてくる涙を抑えきれなくなった。
俺は自分がナルミに言ったこと、したこと全てに後悔した。
人目も憚らず、声をあげて泣いた。
傍に立っていたリョータも目を赤くしながら、無言で俺の肩に手を置いた。
生きてる限り、どれだけ泣いても涙が枯れることはないと知ったのはあの時だったと思う。
好きな人にただ一言、好きって伝えることさえ出来なかった自分が悔しくて情けなくて腹立たしかった。
どれだけ悔やんでも願っても、ナルミはもういない。
ナルミに自分の想いを告げることは出来ない。
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