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リョータとナルミ、お似合いのカップルじゃないかと自分に言い聞かせるように俺は華さんの告白を受け入れた。
大人っぽい華さんから貰った手作りのトリュフは、甘くて‥‥‥‥ほろ苦かった。
ナルミは小動物のようにちっちゃくて、守ってやりたくなるようなフワフワした綿菓子のような可愛い女の子だった。
いつも、俺とリョータの後を追っかけて向日葵のように笑っていた。
優しくて、明るくて。
そんなナルミのことが、俺は小学校の時代から大好きだった。
そして、同時に俺はリョータとの友情も失いたくはなかった。
リョータにナルミのことが好きだと打ち明けられたのは高校二年生の正月。
二人で俺の近所にある神社に初詣しに行った時のことだ。
手を合わせた後で、リョータは俺に宣言した。
《俺、今年こそナルミにコクるき》
内心激しく動揺しながらも、俺は素っ気なく頑張れよとだけ答えた。
リョータはそんな俺に向かって問いかけた。
《お前よ、俺に遠慮しちゃあせんかや?お前もナルミのことが好きながやろ?》
俺がナルミのことを好きだという気持ちは誰にも告げたことはなく、心の奥底に封印していた。
それはナルミのこともそうだが、リョータとの関係が壊れることも恐れてのことだった。
こんな良い奴にはもう出会えないだろうという人間が、俺にとって女はナルミであり、男ではリョータだった。
それくらい、二人は俺にとって大切な存在だったのだ。
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