異色

4/4
前へ
/15ページ
次へ
「────!?」 声は出なかった ただ、周囲の人々が息を飲み────。 「な、なんで───。」 その結果に驚愕した 誰よりも、結果を求めた本人が 「何故…命令に従っていない!!」 一切の傷もなく 立ち尽くすアルに声をあらげた あり得なかった、筈なのに 剣を振り降ろすポーズで、そこにいた 「………危なかったー!! 半分運だったのに、ヤバいな…俺」 「何をした…!!俺の能力は確実にお前に…!!」 「届いた、お前の能力は」 だが、惜しかった そう言い、アルは続ける 「でも、俺の剣で斬った」 「斬る、だと…!?何を…」 淡々と言い放つ 当然の様に 「特別製の邪剣でな、普通物も斬れるが変わった物も斬れるんだ」 「俺の能力か…!!」 「そう、正確にはお前の能力があるという『現実』を斬った」 現実改変 それを司る、邪剣 その名を、【原罪具現】 「さて、学園には能力測定公式戦ってのがあるらしいが…」 ストンと、軽く振るった剣は足を縛る枷という現実を解く 「ここで成績だすか? 【視界支配】、壱乃宮零士。」 「俺の事を知っているとは…有名人になりすぎたな、アルとか言ったな…次は負けん、覚えていろ」 最後まで、九条を見下して 壱乃宮零士───、眼鏡の少年はその場から立ち去った 「大丈夫か?頭の怪我」 「いえ、それよりも彼女の方を…」 「わ、私は大丈夫です!」 今後の学園生活を助けてもらっただけでなく、怪我の介抱もしてもらった 話によれば、治療に詳しい人と乗船しているらしい 船の中、筆記体で書かれた名札を貼られたドアの前 アルがトントンとノックする 「あれ?留守か?」 だが、反応はない アルが首を傾げつつ言いながら、少女は確かめるように小さく呟いた 「シエラ…クラウ…なんだろう…?」 「シエラ・クラウディウス、ローマ皇帝みたいでかっこいいでしょ」 柔らかく暖かい、優しい声がった 振り向いた先にいる一人の少女 輝く金色の髪の毛を一つに束ね 碧眼に眼鏡でこちらを見ている 着ている白衣が研究者を思わせる 「初めまして、能力者さん」 ペコリと頭を下げて、そう言った
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加