友人は謎と共に

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文明の利器は素晴らしい シックな店内にぴったりなアイスコーヒーを包む様に、クーラーの冷気が店内を覆う 雰囲気は上々、コーヒーも旨い 欠点らしい欠点なんて対して見つからない ただ、一点を除いて 「ごめんなさい!こういう事とは知らなくて!!」 「いや、いいんだ…知り合いなんていないし」 店内を埋め尽くす 男女。 おとこのひと おんなのひと 俗に言うカポーな人だらけだった 「えっと…九条くんってこういう事には…」 「安心して、全然なれてない」 後から気付くが全然ドヤ顔で言う事じゃなかった 恥ずかしい 「…………」 「……………………天音さん?」 「ご、ごめんなさい!私、男の人と話すの苦手で…」 じゃあ何故誘われたんだ 「……あー、天音さん。この島にやって来て数時間、いかがですか?」 「えっ!?何いきなりっ!?」 ここは場を盛り上げよう 九条はまるでマイクを持つように、手をグーにして テレビリポーターの如く聞いてみた 天音さんも、多少戸惑った様に見えたがなんだかんだ笑ってくれた 「まだ…よく解りにくいよ。もう、これを隠す必要がないのはいいけど…」 そう言って、ふわり、と青白く光る、球体が天音の周りに浮かぶ 船で見た、謎の光球 「触らないでね…多分爆発する」 「………………」 見かけによらず、ワイルドな能力だ 危険な力 扱え切れない 口には出さないが、彼女の受けた理不尽 それを感じ取れた 「だから…私、友達居なくて…お父さんもお母さんも、私を喜んで…警察につきだして…」 望んでなんかいなかったのに 愛されたかったのに 人並みの幸せが欲しかっただけなのに───。 「天音さん、学内ネットに繋いで」 「え…?何するの?」 きっと機械に弱いのか ネットワーク接続のウインドウを出すだけでも苦労しているが、九条も同じく学内ネットワークに接続する ある程度操作は覚えた 九条は、いくつかウインドウを開いて、一つのある文字列を天音の前のウインドウに移す ▼九条 時雨さんから、フレンド申請がきています 「え…?」 「じゃあ、俺が最初だな。よろしく、天音さん」 彼女の視界は僅かに歪み、溢れながら 承諾ボタンに指を伸ばした 彼女笑顔を見ただけだが、それでも この先の学園生活に希望を持てた気がした
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