能力者保護観察機構

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そこは船の甲板だった 自分以外にも爆発音で駆け付けた人がいて、爆心地と思われる場所には二人の男女がいた 「やめてよ…!!それ以上近づかないで…!!」 床に座り込みその周囲に光球を浮かばせている少女 かつて所属していたであろう学校の黒を基調にしたセーラー服に身を包んだ黒髪の子だ 相対するのは理知的な如何にも生徒会長と言わんばかりの少年だ 「ロクに自身の能力も扱えない雑魚が居ようとは…目障りだ!俺はこんな雑魚と戯れる気はないぞ!!」 細いフレームの眼鏡が輝くエリート風味の少年は相手の少女を見下す様に言った 能力至上主義 能力者の登場で増えた能力者は一般人よりも優れているという思想 きっとこの少年はその類いなのだろうと九条は思う 発端は不明だが、恐らく少年の方が突っ掛かり、衝突してしまったのだろう 「なんで…そんなに他人を見下すんですか…!!」 「黙れ、勝手な口を聞くな劣等種が」 「ちょっ、ちょっと待てよ!何、いがみ合う必要があるんだ!」 気が付けば九条は間に入っていた こんなところで争われたらこっちが困る せめて、島に着いてからだ そう思い、声を掛けたのだが、眼鏡の少年は九条を一瞥して言った 「フン…聞こえなかったのか…?俺は 《黙れ》 と、言ったのだが?」 「……ッッ!!カッ…ハッ……!!」 声が、出ない 少年にただ、黙れと言われただけ ただそれだけで、声帯が停止した 「(なんだ…!?強制的に喉が…!!)」 「力の差だ、弁えろ」 パチン、と少年が指を鳴らして九条の声が返ってくる 少年もまた、少女と同じ様に九条を見下した 「お前の能力が何か解らんが、触れる事すら叶わん……いや、この場合は敵わん……かな」 そうか、勘違いしていた ここは、今までの世界と違う 今も、これからも
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