能力者保護観察機構

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自分でも何をしたか解らなかった それは分解 眼鏡野郎の足元───甲板の金属の結合を断ち切る 結合を解かれれば、当然崩れ落ちる 「───ッ!」 その異変に敏感だった 少年は体が重力に呑まれる前に横に飛んで避けた 「くっ──ッ!!まだア!!」 理由は知らない 訳も解らない ここで能力を使う意味が解らない でも、一つだけ解る こうやって、他人を見下して良い訳がない───!! 「うおおおおお!!!!」 「ッッッ!! 《平伏せ》!!」 ガアン!と、頭から床に叩き付けられた また、この能力だ 眼鏡野郎はこの無理やり命令させる能力か? 「だ…大丈夫ですか…!?」 「雑魚は黙っていろ!!この男…俺に攻撃を…!!」 九条に声を掛けた光球の少女に怒声を飛ばし、九条の頭を踏みつける少年 その痛みに苦しむが、降参はしない 屈したくない その一心だった───。 「名も知らないがその勇気……確かに見届けた!!」 声は上から飛んできた 若い、男の声だ 苦し紛れにその姿を見る 夜に溶け込むような黒い髪 血のような紅い瞳 何故か普段は着ていないだろう───似合わない執事服に身を包み その手に握られた赤と黒の禍々しい片手剣 「争う必要ないだろ…?落ち着けよ、眼鏡くん」 「誰だ…お前は」 黒の少年はわざわざ上の階から飛び降りたのか眼鏡少年の前に着地した 平然と一呼吸、彼は当然の様に問いに答えた 「アル…、ただの───通りすがりの吸血鬼さ」
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