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「愚民の分際で…俺にたてつくからだ!!」
余裕の笑みでアルを睨み付ける少年
戦況はどう見ても不利だ
無条件とは思いたくない
相手に命令を従わせる強制の能力
自力では、解けれない
「あ、アンタは…大丈夫なのか!?」
思わず、自称吸血鬼のアルに問い詰める
どうあれ、九条自身と光球の少女の今後は彼に懸かっているのだ
だが、吸血鬼は笑う
「修羅場なら何度もくぐってきた。大丈夫だ、安心しろ」
そう言って、ピクリとも動かない脚をもろともせず、赤と黒の片手剣を構え直す
「ハッ───笑えるな、その位置でどうやって俺を斬る?足は《立ち止まって》いるのだぞ?」
一歩、近づく
まだ、届かない
「あまり使わないが…命令に重複は効くんだ…さて、ここで俺は君に問う
どんな方法で殺して欲しい?」
「そんな───!ふざけるな!!」
もう、狂っている
平気で人を殺せるなんて───!
「飛び込み!!首吊り!!……いやいや、ここはやっぱりその得物だなー!!」
アルの持つ、片手剣
それを指差し、高笑う
九条の脳内に最悪のビジョンが浮かぶ
「止めろ!!それ以上は───!!」
「《切り裂け》!!首をッーー!!」
少年の声が、木霊した
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