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「……ふぅ」
パソコンをシャットダウンさせて、一息つく青年。
最近寝ていないのか、目の下に隈が出来ていて、目もあからさまに眠そうである。
「悠」
がちゃ、と扉が開く音とともに、男の声が響いた。
「メシ、買ってきた」
「……あー、ありがとうございます。ちょこさん」
扉に立っていたのは、袋を片手に持ち、ダボダボのズボン、肘までの薄手のシャツ、褐色肌に麦わら帽子を被った男だった。
彼の名前は『ちょこ饅頭』。
「そういえば、途中でお前のラジコン見かけたよ」
「そうっすか」
「すげーよな。今何時間飛ばしてる?」
「今昼だから、五時間くらいです」
ボサボサ頭に、青い上下のジャージを身に纏った丸メガネをかけた青年・『悠々と』はそう答えた。
ここで、悠々とのスキルを説明すると、
悠々とのスキルは、
人形と模型を操るスキル『綾憑人形(ヒューマンドール)』
この部屋にある人形や模型、外で周回しているラジコンを、遠隔で操作する事が出来るスキルで、
先ほど、バスケットを持って戻ってきた少女は、悠々とが操っていた人形である。
彼が同時に操作出来る限度は、人形四体、模型とラジコンは六機。
連続操作時間は、十六時間。
起きてる間は、外で周回しているラジコンを操作して、主に地平街を監視している。
「今日の昼飯はなんですか?」
「牛丼」
テーブルに袋を置き、
袋から二つの四角い弁当箱を取り出す。
そこから、牛肉の香ばしい香りが漂う。
「あー、久しぶりにまともなご飯が食べれます。正直お腹ペコペコですよ」
んー。とストレッチすると、ポキポキと身体から音が鳴る。
「まともに食ってないのか?お前は」
「昨日はフランスパンだけでした」
それだけでも、結構腹に入ると思うけど、とちょこ饅頭は思ったが、
朝食・昼食・夜食のうちフランスパン一本と考えると、そんなわけないかと内心そう結論付けた。
「いただきます」
いつの間にか、悠々とは弁当箱を開けて、割り箸を持って手を合わせていた。
「(……早過ぎだ)」
呆れながら、ちょこ饅頭もテーブルに座り、昼食を摂った。
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