1.0 集結(ふぁぶれ、飽人、千堂シナノの場合)

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「ふんふーん♪」 とある近郊街の一角、沢山人が居てもおかしくないはずの、閑散とした駅前の噴水の前で、 一人で楽しくスケッチブックに絵を描く十代後半の少女が居た。 ふわふわのポニーテールにタレ目、 絵の具でぶちまけたような水色のワンピースを着ている。 周りの雰囲気に似合わず、少女はお構いなく絵を描く事をやめない。 完全に自分の世界に入っていた。 「おい」 ふと、少女はペンを止める。 男の声が、目の前からしたのだ。 そちらに目を向けると、如何にも柄の悪そうな(それはそれは世紀末みたいな)男二人組が立っていた。 「危ないねぇ。こんな無法地帯に女の子一人で居るなんて、攫われても知らないよ?」 「俺たちと一緒に、安全なとこに行こうぜ?」 二人の風貌からして、安全ではないと解る。 このまま少女を誘拐しようとでも考えているのは、もう目に見えていた。 だからこそ、少女はこう言った。 「やーだよー♪」 べっ、と舌を出して、悪戯っ子のように言った。 こんな舐められたことをさせられて、男は黙っているわけがない。 「……このアマぁ、調子に乗るなよ!」 どうやら沸点が低いようで、男は拳を少女に向けて振るう。 しかし、その拳は、一生届く事は無かった。 何故なら、拳が届く前に、男が横に吹っ飛んだからだ。 いや、蹴り飛ばされた、と言えば良いだろう。 「おやおや、グットタイミングだね。『ふぁぶれ』くん」 少女は、自分の前にいつの間にか立っていた青年・ふぁぶれを見て、嬉しそうに言った。 「……一人で勝手にウロウロするなよ」 「えぇーっ、いいじゃん。それにこいつら、わたしのスキルだけでも事足りるよ?」 「スキルを除いたお前個人の戦闘力は皆無だろ」 「いたいけな女の子だもーん」 ふーん。とアヒル口で言い返す。 「お前ら!俺を無視してんじゃねぇ!」 もう一人の男が、痺れを切らすように叫んだ。 懐からナイフを取り出し、切っ先を二人に向ける。 「しょうがねぇ……脅してでも連れ出してやる……」 「やっぱり誘拐か。ったく、もう少し良い職に就けよ」 「うるせぇ!」 有無をいわさず、男はナイフを振るう。 しかし、そんなもの、ふぁぶれにとってはぬるいものだった。 ぱん!と足を蹴り上げて、ナイフを振り払うと、 そしてすぐに、男の顎に目掛けて蹴った。 軽く吹っ飛び、地面に叩きつけられた。
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