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東京シティ、地平街。
無法地帯であり、整備や設備は最悪、
紛争地と似たような荒れ具合で、犯罪が当たり前のように横行している。
右を見れば、天下街を隔てる壁、
左を見れば、外を隔てる壁。
最早絶望の溜まり場と言っても過言ではなかった。
しかし、長い間ここに隠れ家として潜んでいる『彼』にとっては、
最高の隠れ蓑であった。
荒廃した郊外の街並みに、周りの雰囲気とは全く、絶対に不釣合いなゴシックロリータのドレスを身に纏った少女が、バスケットを片手に歩いていた。
乞食をしている子どもや、
空っぽの酒瓶を片手に座り込んでいる男とは不釣合いに、
少女は軽やかな足取りで、郊外の街並みを歩いていた。
それはまるで、少女の居る世界が、違うかのようだった。
そんな少女の後を追いかけるように、男が歩いてくる。
目が完全に据わっていて、目線も、少女に対して鋭く向けられていた。
この男を客観的で見れば、かなり危険な人物である事は、一目瞭然であった。
「ぐ、ぐへ、ぐへへへへへ……」
男は、気味悪い笑みを浮かべ、少女に段々と近づく、
一方少女は、男の存在に全く気がついていない。
これはチャンス。
男は更に少女に近づいていく、
それでも気づかない。
男と少女の距離は、もう手の届く近さだ。
しかし男は、まだ手を出さない。
どうやって少女を捕らえるかを考えていたのだ。
その場で取り押さえるか、
あの長い髪を掴んで、ひと気のない場所へ連れ込んでやるか、
そのどちらかにするか考えていた。
だがすぐに、連れ込む事に決定した。
そうと決まれば即決行、
男は少女の、その銀色の髪を、
粗々しく掴んだ。
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