愉快な設定ミスを受け入れましょう

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「帰れないなら出て行って下さい、警察呼びますよ?」 画面に押し付けてもダメだということは分かった。 二人が痛がるだけでそれを続けるほど私も鬼ではない。 気持ちを落ちつけようとミルクティーを飲んでみる。 私は白いご飯にもミルクティーを並べるほどのミルクティー好きだ。 ゲームとどちらが好きと聞かれたら悩む。 誰もそんなことを聞いたりはしないだろうけど。 「それ美味しいの?ボクも飲んでみていい?」 「自分でいれなよ」 「オレの分も頼むぜ、チビ魔王」 …馴染んでない、馴染んでない。 ティータイムを邪魔されないように適当に答えたのがいけなかった。 「うわぁ、これすっごく美味しいよ?勇者さん」 「あぁ、悪くねぇな」 チビ魔王に勇者さん? どんな会話だよ、というか何者だよ。 だけどあまりに嬉しそうにミルクティーを飲む弟君に思わずほおがゆるむ。 私の周りでは甘ったるいと言われがちのミルクティーの良さが分かる奴はみんな友達だ。 「ミルクティーは初めて?」 「うん、ボク飲み物はずっとプロテイン」 聞き流す、聞き流さない、聞き流す、聞き流さない… 花弁もないのに花占い、代わりに髪でも抜こうか。 それほど難しい発言が私に襲いかかって来た。 毎朝起きたら?プロテイン! 三食のお供に?プロテイン! 三時のおやつに?プロテイン! あなたも私も?プロテイン! そんな掛け声が楽しげに脳内を駆け回る。 プロテインすぎる生活はお断りします。 夢にも出ないでね、なんか眠れなくなりそう。 「お前次期魔王のクセにヘナチョコだもんな」 「むっ、勇者さんだって外見ばかりで中身空っぽでしょ?!」 頬を膨らませて怒る弟君はやはり可愛らしい。 そうだな、ゲーム破壊とオバサン補正で殴りたいほど可愛い。 「仕方ねぇだろ、そういう設定なんだからよ」 おいやめろ、残念なイケメン殿。 その本当にゲームの世界から飛び出してきました的な発言。 私はそんなバカみたいな話を受け入れられるほど夢みてないぞ。
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