愉快な設定ミスを受け入れましょう

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「おまえらクビだー!」 起動した瞬間にテレビ画面から飛び出してきた二人の青年。 見事にそれらは私に直撃、そして下敷き、ジュースをこぼす。 さらにこぼれたジュースがゲーム機を濡らして壊れちゃったんだけど。 「えへへ、クビになっちゃったね」 「夢見る少年に勇者の座を譲ってやるオレもまた美しい」 どうでもいいからアンタ達の下で人がくたばっている現状に気付け。 体をよじって何とか下敷きを脱出し、とりあえず青年二人を殴る。 まったくヒドイ目にあった、そして私の大事なゲームが。 「ふえーん、パパにも殴られたことないのにー」 「何すんだよ、髪型をセットするのに何時間かけてると思ってやがる!」 泣きだしたのはまだ幼さが顔に残る青年。 珍しい紫の髪だが肌の白さなどが原因かまったく違和感を感じない。 口調もそうだが、もろ弟タイプな顔だちに体格。 小動物を思わせる可愛さにめまいがしそうだ、まぁ実際そんなものはしないが。 そして怒りだしたのは発言から残念なイケメン。 どこかのおとぎ話に登場しそうなそれはもう美しい青年だ。 しかし私にはゲーム破壊という補正がもれなくついてくる。 活用方法はサンドバックしか思いつかない。 まずはその綺麗な金髪を引きちぎって…、いやあとにしよう。 「どちら様か知りませんが今すぐ帰って下さい」 ありえないんだって、テレビ画面から出てきましたーだなんて。 どうせありえるなら恋愛シュミレーションゲームのイケメ…ごほん。 とりあえず二人をテレビ画面に押し付ける。 今なら帰れるって、なかったことにできるって、忘れられるって。 「ちょ、やめろ!マジでいてぇ」 それくらい我慢しろって、残念なイケメン殿。 その痛みに耐えればきっといつも日常に戻れるよ。 クビとか聞こえたけど仕事ぐらいまた探せばいいよね。 「ふえーん、痛いよぅ!オバサン」 「あ?」 弟君の発言に押し付ける手を止める。 今オバサンって言ったのか、このクソガキは。 まだ二十歳にもなっていない私を悪気もなくオバサンとナチュラルに?
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