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まず、田淵が現れるのは夜、空が薄暗くなり始めてから。
そしてもう一つは、神社に限らず建物に入れば逃げ切ることができ
るということです。
でも、それが分かったからといって、何の意味があるでしょうか。
田淵は僕を捕まえるまで、決して諦めないのです。
今回逃げ切れたからといって、次も上手くいく保証はありません。
そして今、僕はこうやって何年も家の中に引きこもっています。
あいつから逃げ回っている内に、夜だけでなく、
日が暮れゆく夕方までもが恐ろしくなり始めたのです。
あいつは外ならば、人がいる場所でも平気で現れます。
周りの人間には見えないのです。
彼に捕まり、他の三人とともに得体の知れない牢屋へ
入れられてしまう恐怖と向き合ってまともに生きられる程、
僕は厚かましくはありません。
もっとも、このままの状態でも人生終わったも同然です。
結局は、あいつの用意した二つ目の牢屋に自分から入ってしまった
のかもしれません。
(終)
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