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燃え盛る北ノ庄城、柴田権六勝家は
その天守から憎き羽柴秀吉の軍勢を眺めていた。
背後には織田信長が妹:お市の方が目を閉じ、静かに立っていた。
「お市様、今からでも猿の元へ…。お市様はこのような所で死ぬ必要はありませぬ。」
背後にいる市へ言葉を投げかける。
これは勝家の本心であり、本心でない。
勝家は市のことを昔から好いていた。
だから憎き秀吉の元へは行ってほしくない。
だからと言って、こんな所で死なせるのも嫌なのだ。
だが、勝家は市への恋心と葛藤を生涯口にすることはないだろう。
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