プロローグー天正11年(1583年)ー

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燃え盛る北ノ庄城、柴田権六勝家は その天守から憎き羽柴秀吉の軍勢を眺めていた。 背後には織田信長が妹:お市の方が目を閉じ、静かに立っていた。 「お市様、今からでも猿の元へ…。お市様はこのような所で死ぬ必要はありませぬ。」 背後にいる市へ言葉を投げかける。 これは勝家の本心であり、本心でない。 勝家は市のことを昔から好いていた。 だから憎き秀吉の元へは行ってほしくない。 だからと言って、こんな所で死なせるのも嫌なのだ。 だが、勝家は市への恋心と葛藤を生涯口にすることはないだろう。
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