狂気への扉

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この空蝉丸という男は戦国時代から続く忍者の家柄で、現代でも実は忍者としての技術を後世に伝えるために隠れて修行している。「この事は秘密で絶対に人に言っちゃダメなんだ」と高校の頃の飯の席で笑いながら語っていた。 帰りに忍術もバッチリ見せてくれた。 俺はもちろんクラスの皆に言った。 それ以来、空蝉丸はクラスの人気者になった。 ついでに抜群のタイミングで彼の親父も死んだ。 「いやあ、親父に怒られなくて良かったわ。バレたら殺されたかもしれないしな。」そう笑いながら話した彼の目は人殺しの目をしていた。 あの時の目を僕は忘れることが出来ない。 まあ、そんな感じの男だ。 「久しぶりだな。まだ修行してるだろうか。」勇次に話しかける。 「こないだ電線に引っかかりそうだった猫を助けてたっけよ。その後一緒に牛丼食った。」 地元暮らしの勇次はこの現代に生きる忍者とたまに遊ぶ事もあるらしい。 ちょっとヤキモチだ。
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