狂気への扉

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ういっす 褐色の肌、童顔だが整った顔、精強な肉体。 どこか西の風を纏った雰囲気の男が部屋に入って来た。 彼の名はアル・バジンジール・スィナーンという。 中東圏の両親を持つ生粋の日本育ちだ。 彼とは高校からの付き合いだ。 真面目で、冗談も分かる好青年で誰からも好かれる性格をしている。少なくとも、彼の前で宗教の話をしなければ…。 高校の頃は課外学習で訪れた寺の境内で暴れ周ったり、町外れの新興宗教の教会に爆竹を投げこんだりした。ちょっぴりやんちゃでお茶目な過激派だ。 「地図に無い村に行くんだってね?」 見た目に反し流暢な日本語で勇次に話しかける。 正直、イケメンだ。俺もバジンに想いを寄せていた時期があったが、宗教上の理由で拒否された。
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