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……今、何て言った?こいつ。
「さすが、上位一級の聖天使!私のようなしたっぱで倉庫管理何てしていた役立たずを危険が多い任務を任せるのが不安だと心配してくださるんですね! だけどご安心下さい。この日の為に訓練を毎日欠かさずやってきましたので貴女の負担にはなりません!きっと役にたってみせます!」
「いや、だから君と組むつもりは無いって」
「まあまあまあ、やる気満々なのは良いことだけどちょっと落ち着いてよルカちゃん」
「あっ!すいません、つい熱くなりかけてしまいました」
そう言って目の前にいる彼女はペコペコと凄い勢いでお辞儀を繰り返した。
「……この娘に何か変なこと教えました?神様」
「ん~?別に変なことは教えてないよ。ただ、君は天界一の聖天使で困っている人を見捨てずいつも人を思い、自分のことは二の次に考える……」
そうしてこの自己中な神は、全く自分に当てはまらないことをよく噛まないなと思うスピードでオーバーな身振り手振りをしながら話して言った。
「もういいです。どうしても貴女は特別部署に俺を入れたいらしいですが、何故です?他にも優秀な奴何て沢山要るじゃないですか。どうして俺なんですか?」
「…………急に知らせが入ってね。……彼が見つかったらしいんだ」
「アイツが……?」
「うん、魔界の裁判道具の一種、魔鏡で彼の居所を掴んだって」
「魔鏡って何ですか?」
「ルカちゃんは知らないの?」
「お恥ずかしながら、ずっと倉庫管理だったんでそういったレベルの高い任務のことには……」
「そっか……魔鏡っていうのは魔界にだけ存在する人間界を映す鏡でね。さっき言ったと思うんだけど魔界で使う裁判道具の一つだよ」
「へぇ……で、彼というのは?」
「あぁ、それは……ってどこ行くの水連くん」
「アイツが今頃現れても俺はもう何も思いません。めんどくさいだけです」
出口に向かう時、少しだけ後ろを向いたらルカとかいう悪魔が哀れんだ目でこっちを見ていた。
そんな目で見られたら思い出す。
いつも哀れんだ目で人を見る堕ちた天使のことを。
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