好きな人

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「?」 タオルを肩にかけた時に、じっと荒木に見られる。 「荒木?」 呼んでも返事をしてくれない。 これは、何のイジメ? もし用があるなら、ここで戻るのも失礼だしな…。 そう考えてる時に、額から汗が一筋落ちていた。 「荒木。汗拭いてよ。風邪ひくよ」 注意しても全く拭こうとしないから、肩にかけたタオルの端を持って落ちてきた汗を拭く。 「全くもう。世話が焼けるな。ちゃんとしてよね、部長なんだから」 軽く腕を叩いて、またマネージャー業に戻る。 次の仕事はボール拭きだ。 結局地面に転がして汚れるんだから、毎回拭く意味は無いと思うんだけどな…。 先輩に教えられた時から思っていた事。 後輩のマネージャーも何人かいるけど、一軍のマネージャーはあたしだけ。 だから凄く忙しい。 人数は一番少ないはずなんだけどな…。 部員数の多い成陵高校サッカー部は、三軍まである。 一軍は試合に出るスタメンの人とベンチスタートの人だけだから、二十人ちょっと。 二軍、三軍はそれの倍以上はいる。 なのに、一軍マネージャーの仕事が一番大変という不思議さ。
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