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「永澤」
倉庫に向かってる途中に荒木に呼び止められる。
さっきまで何も言わなかったくせに。
「何?」
「あー、のさ」
「うん?」
なぜかタオルに顔を埋めてモジモジしてる荒木。
…きもい。
「え、ちょ…。何、どうしたの」
「冬の大会終わったら、話…あるんだけど」
話?
何だろう。
お互い進路は決まってるから、そういった相談とかでは無いし…。
「あの、さ。だから、時間くれる?」
「?別に、いいけど…」
わけも分からずに了承すると、ガッツポーズまでして喜びだす荒木。
今のは完全に引く。
何、こいつ。
「絶対だぞ?忘れんなよ?」
「わ、分かった。分かったって」
鼻息を荒くしながら、近づいてくるから後ろに下がる。
近い近い…。
まだジリジリと詰め寄ってくるから、下がり続けていたら、背中が誰かに当たった。
「おわ。ごめん」
振り返りながら謝ると、当たった人は特に気にしてない様子で、
「いいよ、別に。気をつけろよ」
と言って、重心が後ろに行って体制が崩れていたあたしをしっかり立たせてくれた。
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