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「荒木。早く始めろよ」
「え、もう時間経った?」
「経ってる。森脇なんて勝手にボールいじってんぞ」
呆れた様にグラウンドでボールを蹴ってる陽向を見ているのは、橘 悠希。
背が高くて格好いい人だけど、彼女がコロコロ変わる人。
別に女遊びをしているような人でも無い。
陽向みたいにサッカーにしか興味が無いから。
彼女がいるのは、ただ告白されて振るのが面倒だから。という事らしい。
全く納得なんて出来ないけど。
それでも面倒になったら、荒木に頼んで彼女と別れる。
そんな事が何度も続いている。
荒木が「俺が一番睨まれる」とぶつくさ言ってる事を何回も見た事がある。
「やっば。始めなきゃ」
手に持ってるドリンクをグイッと飲んで、あたしにタオルと共に渡してくる。
「ちょ…」
「休憩終わりー!練習始めるぞっ」
そう指示を出すと、駆け足でグラウンドの中心に行ってしまう。
「…人使いあら」
隣にいたはずの橘くんもいつの間にかグラウンドの方にたらたらと歩いている。
はぁーあ。とため息をついて、ボール拭きする為に荒木に押し付けられた荷物を置きに行く。
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