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練習も終わって、夜の八時。
十二月の今はもう真っ暗。
しかも校内には生徒なんていないから、静かだから怖い。
「あー、寒い。素足なんてもう無理だよね」
部室の鍵を暖かい職員室に返して、校門に向かう。
スカート長くしたい。
でも、もう切っちゃったから無理。出来ない。
学校から家までは徒歩で三十分。
近いとは思うけど、徒歩でしか行けないのがキツい。
「……あれ」
校門に着くと、誰かが壁にもたれて立っていた。
恐る恐る近付くと、
「………ひ、なた?」
「遅い」
「え?」
まさかの陽向がいた。
部活が終わって一時間は経ってる。
そんな長時間、外にいたの?
鼻の頭や頬を赤くしてる陽向を見て、動揺する。
でもその反面、待っていてくれた事に嬉しく思う自分もいた。
「何で…?」
「夜に一人は危ないだろ」
陽向がそんな事を考えてくれるなんて…。
「って、荒木に言われたから」
「…………あぁ、そういう事」
人に言われたから待っててくれたのね。
期待して損したかも。
いや、それでも嬉しいけどさ。
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