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「遅くなってごめん。寒いでしょ?」
「まぁ…」
暗い住宅街を並んで歩く。
こうやって帰るのも久々だな。
夏休みの時はよく一緒に帰ってたけど、最近は全然だ。
「あ。カイロいる?」
「ん」
コートのポケットの中に入ってたカイロを陽向に渡す。
それを受け取ると、頬にペタッとくっつけるのが可愛く見えた。
「あったか…」
「待ってくれてたお礼に、飲み物買おうか?」
これで風邪を引かれたら困る。
大会まで後少ししか無いんだから。
「いや、平気。これで十分」
「そう?」
コクン。と頷く陽向に、これ以上は何言っても無理だな。と、お礼を行動で表す事を諦める。
ポケットに両手を突っ込んで、コツコツとローファーの踵で音を鳴らしながら歩いていたら、陽向が止まる。
「どうしたの?」
「いや…。懐かしいなと思って」
そう言った陽向の視線の先には、小さな公園があった。
「あぁ。本当だ。懐かしい」
小・中学生の時に、陽向がよく練習していた場所。
あたしもよく行ったなぁ…。
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