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放課後急いで帰って、荷物置いて。
それですぐにこの公園に来て、陽向の練習をベンチに座って眺めてた。
お互い会話なんてしないで、陽向は黙々とボールを蹴って、あたしはじーっと見てるだけ。
それだけ、と言っていいのか分からないけど、とても幸せな時間だった。
「永澤、見てたよな」
「陽向がボール触ってるの見るの好きなんだもん」
「そう?」
「そう!あたしは下手くそだからさ。陽向が体の一部みたいにボール動かしてるの見てると、面白いし楽しかったんだよね」
さすがに長時間立ち止まるのは寒過ぎて、歩き始める。
「…………確かに下手だった」
「わざわざ思い出さなくていいって」
きっと体育のサッカーで蹴るのを空振りするわ、ドリブルしてる時に転んだ事を思い出してくれたんだろう。
本当、嫌な思い出。
「あたしはサッカー出来ないけど好きなの。だから、こうしてマネージャーとして…」
「分かってる。俺ら凄い助かってるし」
「…………そう」
ここでその微笑みはやめてほしい。
心臓がバクバク言ってる。
突然過ぎて、準備が出来なかったよ。
陽向は顔が整ってるっていうのを、自覚してほしい。
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