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「今日もありがとう」
「別に」
いつも通り、家まで送ってくれた陽向。
お礼を言っても、素直に受け取ってくれないのもいつも通り。
「明日から、テストだよ?平気?」
「まぁ、何とかなるんじゃない」
テスト前日まで練習があったサッカー部。
大会が近いから、それも仕方が無いか。とは思うけど。
「赤点取らないでよ?」
「…………」
「ちょっと」
陽向は勉強が全く出来ない。
いつも赤点ギリギリで補習を免れてる状態。
でも今回の範囲はどの科目も広いから、赤点を取りそうで凄く心配だ。
「人の心配よりも、自分の心配しなよ」
あたし、あなたよりも点数いいんですけど。
とは言えず。
苦笑いしながら、「そ、そうだね」と返しておいた。
「お互い、頑張ろうね」
「ん」
「あ、カイロは持って行っていいよ?まだ温かいでしょ?」
「いいの?」
「あたし、もう家だもん。陽向にあげる」
「そ」
カイロを一度少しだけ上に上げて、そのまま歩き出してしまった。
「…………陽向のテストの点が赤点じゃありませんように」
家に入る前に、夜空で一番輝いていた星に願っておいた。
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