好きな人

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「ちょっと、荒木!返してよ!」 奪おうとしても、片手を上にあげられて全く届かない。 158センチしか身長が無いあたしは、176センチの荒木は相当でかい。 爪先立ちして奪おうにも、ヒラヒラと揺らされて指先に触れては離れて。を繰り返す。 「ちょっと、荒木!」 そんな事を廊下で続けていたら、荒木と逆側にいた陽向が簡単に取る。 「うるさい。早く返してやれよ」 「……………」 「陽向!ありがとう」 さすが陽向。優しいな、本当。 陽向から受け取った順位表を鞄にしまう。 「…何だよ、急に。入ってくんなって」 「幼稚な事してるから止めただけ」 「幼稚?幼稚?!俺がか?」 「それ以外誰がいるんだよ」 「ちょっと、二人とも…」 あたしを挟んで、両端で喧嘩をし出す。 陽向と荒木は仲良くない。 いつも喧嘩ばっかしてる。 何でこんなに馬が合わないんだろう…。 試合の時は息ぴったりなのに。 はぁーあ。と大きくため息をつく。
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