好きな人

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「あ、荒木だ。ばいばーい」 派手めな子たちが荒木に声をかける。 「おう、またな」 荒木は学年の人たちと仲がいい。 高身長で強豪サッカー部部長という肩書きを持っている荒木はモテる人だと思う。 あたしも何回か告白現場を目撃してしまった。 あれは気まずかった。 それでも誰とも付き合わない荒木は、きっと理想が高いんだろう。それか、興味が無いか。 そんな荒木よりもモテるのが、あたしの隣にいる陽向。 橘くんと学年のモテ男の一、二を争ってる気がする。 ほとんど話さないのに、モデル体型の184センチもある身長に整った顔。 これだけで十分モテるのに、プラスサッカー部エースと来た。 今だって廊下を歩いてるだけで、ほとんどの女子が見てる。 荒木には失礼だけど、荒木に声をかけてる子たちだって陽向に近づきたいんだと思う。 そんなモテ男の隣にずっといるあたしは、学年の女子たちからの嫉妬やらの標的の的。 特に酷い事はされた事無いけど、視線が痛い。 確かに、うろちょろしてたら邪魔かもしれないけどさぁ。 あたしだって好きなんだから、近くにいたっていいでしょ。 毎回そう思いながら、陽向の隣を歩く。
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