好きな人

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「何」 「え?」 「ずっと見てるから、用があるんじゃないの?」 「えっ…と」 うそ! あたし、そんなにじっと見てた? 何か、話題…。話題を…。 「あっ!あのさ!今日は先に帰ってて?本屋に寄りたいんだよねー…」 なぜそれを今話したんだ、あたしは! こんないつも一緒に帰ってますアピールをしたかった訳じゃ無いのにっ! いや、帰ってるけれども。 高校生活の最後の方でまた敵を作ってしまった…。 予想通り、さっきよりも倍以上の人から睨まれる。 肩身が狭くなって縮こまっていたら、荒木が声をかけてきた。 「今日駅の方まで来るの?なら、俺と一緒に帰ろうよ」 「けけけ結構ですっ」 無理無理。 あなたもモテるんですよ、荒木さん。 あたし、荒木とも帰っても殺されると思う。 「何だよ、その即答さ。傷つくわー」 「え、あ、いや。違うの!荒木と帰るのが嫌なわけじゃ無くてね?」 「なら一緒に帰ろうよ。方面一緒なんだからいいだろ?夜道は危ないし」 「いや、でも……」 あぁ。あたしはどうしたらいいんですかね、彩菜さん。 内心で、親友の彩菜に助けを求める。
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