好きな人

23/24
前へ
/83ページ
次へ
「やっぱ二人ともいいよ。あたし一人で行く」 こうするのが一番丸く収まるし。 「俺、雑誌買うんだけど」 「今度でいいじゃん」 「俺、駅まで帰るんだけど」 「本屋ってその通りから外れてるし」 ほらほら!一緒に行く理由もなくなっ… 「夏に変質者に会ったじゃん」 「っ!!!!ちょっと、陽向!」 「え、そうなの?永澤!」 言わないって約束したのに、何で…。 「おい、永澤!黙って無いで早く言えよっ」 肩を掴まれて、グラグラ揺らされる。 酔う。酔うからやめて。 「夏に帰りが遅くなった時に、声かけられただけだから…。そんな大騒ぎする事じゃないよ」 荒木は凄く心配性で、友達の事となると大変だ。 だから、荒木には言わなかったのに。 チラリと陽向を見る。 何とも無い顔をして、前だけを見てる。 「この事、彩菜は知ってる?」 「あ、うん。連絡した」 「…………」 隠し事をされたのが悲しかったらしく、凄くダメージを受けた荒木はその場に頭を抱えてしゃがみ込む。 「え…。荒木…」 なぜそんなに落ち込む? 何が悲しかったの、あなたは。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加