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「やっぱ二人ともいいよ。あたし一人で行く」
こうするのが一番丸く収まるし。
「俺、雑誌買うんだけど」
「今度でいいじゃん」
「俺、駅まで帰るんだけど」
「本屋ってその通りから外れてるし」
ほらほら!一緒に行く理由もなくなっ…
「夏に変質者に会ったじゃん」
「っ!!!!ちょっと、陽向!」
「え、そうなの?永澤!」
言わないって約束したのに、何で…。
「おい、永澤!黙って無いで早く言えよっ」
肩を掴まれて、グラグラ揺らされる。
酔う。酔うからやめて。
「夏に帰りが遅くなった時に、声かけられただけだから…。そんな大騒ぎする事じゃないよ」
荒木は凄く心配性で、友達の事となると大変だ。
だから、荒木には言わなかったのに。
チラリと陽向を見る。
何とも無い顔をして、前だけを見てる。
「この事、彩菜は知ってる?」
「あ、うん。連絡した」
「…………」
隠し事をされたのが悲しかったらしく、凄くダメージを受けた荒木はその場に頭を抱えてしゃがみ込む。
「え…。荒木…」
なぜそんなに落ち込む?
何が悲しかったの、あなたは。
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