ひとときの安堵

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「誰か居ませんか!」 直人は順番に扉を叩いていった。 中からは応答はない。 諦めてシャッターの前に戻る。 「お腹空いた……」 明恵がつぶやいた。 この部屋で目覚めてからどれぐらいたったのだろう。 朝か夜かも分からない 「やくにたたない時計だ」 直人は呟き腕輪を見た。 鈍い音が響いた。扉の開く音だ。 扉に視線を向けた。キョロキョロと辺りを見回しながら、男が二人に近づいてきた。 坊主頭に細い目。派手なYシャツに、足にぴったりフィットしたジーンズを履いている。 がに股で歩いて来た男は二人に気づくと軽く微笑んだ。 風間友明だ。 明恵と同じで、直人の仲の良い友達の一人だった。 「友明!」 直人と明恵が同時に叫んだ。 「おいおい。これは何事だ。なんでこんなとこにいる?なんかのサプライズか?」 友明は二人の前まで来ると、視線を左右にふりながら言った。 「分からない。気がついたらここにいた」 直人は答える。
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