ひとときの安堵

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おどおどしながら、扉から女が出てくるのが分かった。 ショートカットにロングスカート。 見覚えのある顔。香川涼子だ。 「涼子!」 涼子は三人に気づくと安心したような表情をうかべ、こちらに駆け寄ってきた。 「皆どうしてここに?ここはどこなの?」 直人は無言で首を振った。 「これってやっぱりサプライズじゃないの?」 明恵の言葉にみな、明恵を見た。 「こんなふうに知ってる顔ばかり集まるなんて不自然でしょ?本当は誰か知ってるんじゃないの?」 「確かに……」 直人は言って皆の顔を眺めた。 誰一人表情は変わらない。長年一緒にいる仲間達だ。何かを隠しているかいないかは分かる。 誰一人何かを隠しているようには見えない。
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