ひとときの安堵

5/6
前へ
/92ページ
次へ
「何のサプライズだよ?誕生日か?誰かの誕生日でもないし、特別な日でもないだろう」友明が言う。 確かに友明の言うとおりだった。 ここにいる四人の誕生日はまだ先だ。 直人は扉に視線を移した。 もし、仮に残りの扉から出てくるであろう二人が、直人の知る人物だったとしても、誕生日はまだ先だ。 大体、誕生日のサプライズという考え方自体に無理がある。 これだけ大掛かりな施設だ。相当金がかかってるに違いない。 サプライズで用意する。誰かに出来るだろうか。 一人だけ出来るであろう人物はいる。 明恵だ。 彼女の両親は金持ちだ。 直人は頭を振った。馬鹿馬鹿しい。 何者かに拉致されたと考えるのが正解だろう。 「とにかく、残り二人が来るのを待とう。話はそれからだ」 直人は言った。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加