ひとときの安堵

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扉の開く音が響いた。振り向く。 大柄な角刈りのタンクトップ姿の男が現れた。 泉田真也だ。 警察官をしているせいか、大工の友明と比べでも劣らないくらい筋肉質だ。 直人の知る顔。これはもはや偶然ではない。 親友とも呼べる存在が偶然集まるとは考えずらい。 「あとは洋介だけだな」 直人の言葉を否定する者は誰もいなかった。 無言で頷き、一斉に扉を見つめた。 すぐに扉が開き、朝倉洋介が現れた。 とんでもなく爆発した寝癖に灰色のパジャマ姿で、ペタペタとスリッパの音を響かせ五人の元に歩いてくる。 そのあまりの風貌に五人は顔を見合わせる。そして笑った。 「なんて格好してんだよ」 笑いながらも直人は言った。 洋介は五人の前まで来ると立ち止まる。 「おはよう」 洋介は言い、頭を掻いた。 五人はさらに笑った。
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