シャッター

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「みんな、本当に何も知らないんだね?」 直人は五人の顔を眺めながら言った。 五人はうなづきお互いの顔を見回した。 直人はみんなの顔を観察した。いつも通りの表情で嘘をついているようには見えない。 だとすると、当たり前だが六人を集めたのは別の誰かということになる。 いったい、誰が何のために? 六人もの人間を、知らないうちに部屋に閉じ込めることが出来る人物。 考えても何も分からなかった。 「とにかく、このシャッターを開けようぜ。ここに居たって餓死するだけだろう」 友明は言って、シャッターを指差した。 その提案に誰も答えなかった。 「なんで黙るの?まさかここで、じっとしてるわけじゃないだろ?行ける場所はここしかない。なら行くしかないだろ」 「そうだけど……でも」 口を開いたのは涼子だった。不安げに答える。 友明は呆れたように涼子を見た。 「まさか誰かが助けに来るとでも?訳も分からず閉じ込められて、おまけに変な物まで付けられてる。どう考えても助けなんて来ないだろう」 「分かってる……私は」 「大体……」 「ちょっと待ってくれよ」 直人は友明の言葉を遮った。
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