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広さはさほどない。この部屋と一緒ぐらいだ。
床と壁は白い正方形のタイルのような物で覆われている。
正面にはシャッター。その前にこの部屋と同じ操作盤が置かれていた。
右隅には盛り上がったビニールシートが見えた。
やがて唸りをあげていたシャッターが上まであがり、動きを止めた。
その瞬間腕輪から電子音のような音がした。
直人は腕輪に視線を落とした。液晶に四桁の数字が見える。
6000と表示された数字が減って行くのが分かった。
何かは分からないが、とてつもなく嫌な予感がした。
「おい、これって」
カウントダウンに気付いた友明が声を発した。
「とにかく進もう」
直人はシャッターを越え部屋に入った。
「一時間経ったら何が起こるの?」
涼子が不安そうに言う。
「分からない……とにかく慎重に行動しよう。まだ一時間もあるんだ」
直人自身不安もあった。
だが、みんなに不安を与えるような言動は避けた方がよい。
パニックを起こした人間ほど怖いものはない。
直人は不安を押し込めると思った。
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