シャッター

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「だけどよ!」 友明が叫んだ。 「落ち着いてくれ。とにかくますばあれを調べてからだ」 直人は言ってビニールシートを指差した。 みんなの視線がビニールシートに注がれる。 直人はビニールシートの側まで行くと、ゆっくりと持ち上げていった。 が、すぐにビニールシートを離した。 「どうしたの?何があったの?」 涼子が言い直人に近付いてくる。 「来るな!」 直人は怒鳴り涼子を制止した。 「調べるから待ってて」 直人は再びビニールシートを持ち上げた。 見間違いであってくれ。祈るようにめくっていく。 だがその願いが通じることはなかった。 人間の足が見えた。 生唾を飲み込み、なおもシートをめくっていく。 腕輪を付けた腕が見えた。液晶の数字は0が四つ。 これ以上は見てはいけない。思考が告げている。 だがそんな考えとは裏腹に手は、ビニールシートをめくっていく。 やがて首輪が見えた。喉の部分にあるはずの緑色の液体はない。 やがて顔が見えた。どす黒い顔。 口を大きく開け、泡のようなものを吐き出している。 目は半分以上飛び出し苦悶の表情を浮かべていた。 直人は叫んだ。まさに金切り声。
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