パニック

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「どうした!」 友明が言って直人のそばに近寄った。 「や、やめとけ」 直人は言ったが、それよりも早く友明はビニールシートを勢いよく引っ張った。 シートの下の死体が露わになる。その瞬間叫び声が室内に響いた。 友明が尻餅をつき、女達は目を塞いだ。 皆がパニックを起こしそうな中、真也だけは違っていた。 何事もなかったかなように、ビニールシートを死体に被せる。 「平気なのか?」 「職業柄、死体をみることもあるからな」 直人は立ち上がり、女二人を見た。 涼子は座り込み泣いていた。明恵は青ざめた表情でビニールシートを見つめている。 無理もない。死体を見ることなんて滅多にないことだ。 それも、苦悶の表情を浮かべたインパクトのある死体だ。 直人自身も膝が震え立っているのがやっとだった。 足をカクカクと動かしながら、泣いている涼子に近寄り、屈む。 そっと肩に手を置いた。 涼子は顔をあげ真っ赤な目で直人を見上げた。
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