勇気

3/7
前へ
/92ページ
次へ
友明は腕輪に視線を落とした。 さっきまで減っていたタイマーが、一時間に戻っている。 皆が互いに視線を交わす。 「次の部屋に行くシャッターを開けると、タイマーが戻るみたいだ」 直人がいち早く口を開いた。 「寿命がのびたな」 友明は答え、シャッターの下を抜け、赤い部屋に移動した。 壁一面が赤い小さなタイル張り。広さは十畳より少し広い程度だ。 部屋の左端にシャッター。前の部屋と同じような操作盤が置いてあるが一つではなかった。 部屋に散らばるように、前の部屋より少し小さめの操作盤が、全部で五つ。 それぞれにスイッチと差し込み口が付いている。 「操作盤が足りないぞ」 友明は狭い部屋を歩き回る。 「ちょっと待ってくれ。確かめてみる」 直人が言って、操作盤の一つに腕輪を差した。 操作盤からは何の反応もない。スイッチを押したが当然のように沈黙を続けた。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加