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友明は腕輪に視線を落とした。
さっきまで減っていたタイマーが、一時間に戻っている。
皆が互いに視線を交わす。
「次の部屋に行くシャッターを開けると、タイマーが戻るみたいだ」
直人がいち早く口を開いた。
「寿命がのびたな」
友明は答え、シャッターの下を抜け、赤い部屋に移動した。
壁一面が赤い小さなタイル張り。広さは十畳より少し広い程度だ。
部屋の左端にシャッター。前の部屋と同じような操作盤が置いてあるが一つではなかった。
部屋に散らばるように、前の部屋より少し小さめの操作盤が、全部で五つ。
それぞれにスイッチと差し込み口が付いている。
「操作盤が足りないぞ」
友明は狭い部屋を歩き回る。
「ちょっと待ってくれ。確かめてみる」
直人が言って、操作盤の一つに腕輪を差した。
操作盤からは何の反応もない。スイッチを押したが当然のように沈黙を続けた。
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