勇気

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「どうすりゃいいんだ?」 「とにかく部屋を調べてみよう」 友明はうなづき、部屋を見回した。 狭い部屋だ。調べられる場所は限られている。というよりは、調べる場所などほとんどなかった。 操作盤が五つしかない以上、どこかに残り一つがあるはずだ。 友明は目を凝らして部屋を眺めた。 赤いタイル張りの部屋。シャッターと反対側の角の宙に、黒い物が浮いているのが見えた。 なんだあれ? 友明は黒い物体に近づいた。 「あっ!」 思わず声を上げた。 黒い物体は、ドアノブだった。 周囲の壁が全て赤く染まっていたため分からなかったが、透明の扉があり、そのドアノブが宙に浮いているように見えていた。 中には何もない。 友明はドアノブに手をかけた。
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