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「私の勝手でしょ。変なとこみないでよ、この変態」
「誰も好き好んで、お前の足なんて見ねえよ」
明恵に対して特別な感情はなかった。
無意識に視線が下がった。それだけだ。
だが、見たことは否定出来ない。
つきあいが長く、今まで、よく見たことはなかったが、体つきは大人の女のそれだった。
小学生の頃、苛められ、友明に助けを求めてきた明恵の幼さはもうなかった。
大人になったんだな。ふと感情的になる。
「もういい」
明恵は言って、わざとらしく頬を膨らませた。
「ハイハイ。良かったな、ぶーちゃん」
友明は言って、おどけて見せ、そして笑った。
「ねえ…」
明恵が突然、神妙な顔つきになる。
「どうした?」
「どうしてそんなに元気なの?……怖くないの?」
怖くないと言ったら嘘になる。明恵との他愛もない会話で、恐怖心が薄れたのだ。
明恵を見ると、微かに震えているのが分かった。
幼い頃、友明に助けを求めて来た時のように。
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