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友明は明恵の肩に手を置いた。
「大丈夫だ、心配するな。俺が守ってやる」
明恵は少し笑った。
「……ありがとう」
友明は勇気を奮い立たせた。絶対に俺が守ってみせると。
ガラス戸の先の空間に目をはわせる。壁も天井も赤いタイル張り。
ただ、外の部屋のタイルの色とは微妙に違っているようだった。
錆びたように赤黒い。
「ねえ……これって……」
壁を見つめながら明恵がつぶやいた。
考えたくはなかった。勘違いかも知れない。だが、変色した壁が想像をかきたてる。
何かがこの空間で起こっていることを物語っている。一日二日で変わる色ではなかった。
これはまさしく血の色だろう。
「多分……血のあとだ……
誰かがゴクリと生唾を飲み込んだ。
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