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「諦めたほうがいい。それに状況が分からない今は、下手に触らないほうがいい。何が起こるか分からないからね」
直人の問いかけに明恵の手が止まる。ゆっくりと首輪から手を離した。
直人は明恵の首に視線を移した
「ちょっと見せてよ」
自分では分からなかった首輪の全貌がわかる。
金属製の首輪で、首の裏側に接続部がある。喉元に透明な部分があり、中に緑色の液体が入っているのが分かった。
なんだこれは?
いやな予感しかしなかったが、今はどうすることも出来ない。
「ここにくる前に何をしてたか覚えてるかい?」
「友達と遊んでた……あとは……分からない」
明恵は言ってうなだれた。
やはり直人と同じで記憶が曖昧なようだ。
「閉じ込められたのかな?……」
直人の脳裏に監禁の二文字が浮かぶ。
理由は分からない。だが状況を見てもそれしか考えられなかった。
言いようのない不安にかられたが、それを顔に出すわけにはいかない。
いざとなったら明恵を守らなければならないのだ。
直人は並んだ扉に視線を移した。
直人と明恵が出てきた扉。
6つ並んだ扉は沈黙を守ったままだ。
中に人がいる可能性はあったが、外からは何も出来ない。
直人はシャッターの前の操作盤に視線を向けた。
怪しいのはあれしかない。ゆっくりと操作盤の前に立った。
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