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「これにて今日の審判は終了。
順番待ちのものは整理券をもらって待機所で待機」
女性の前に並んでいたおびただしい数の人々は近くにいた男達から紙のようなものを貰い、近くのマンションのような建物へ入っていった。
「ふぅ……」
しばらくして、その場には女性だけになった。
さっきまでいた男達は影も残さず消えていった。
「いくら地獄が人手不足とはいえ、審判で嘘をつかなければならないとはな……」
女性が苦笑しながら呟いた。
すると背後の黒の扉が開き、黒いコートを着た一人の男が出てきた。
「……地獄もそんなに悪いところではないのだがな」
「サタン……」
「無理をいって申し訳ないな、閻魔……」
サタンと呼ばれた男性は、女性を閻魔と呼んだ。
「度重なる災害で、地獄は人が減りすぎた……
もうこれしか方法はないのだ」
男は女性に頭を下げた。
「ふっ……構わんよ。
地獄と天国のバランスが崩れたら全てが崩壊する。
それがわかっているから天使の奴等も何も言わんのだろう」
女性は再び苦笑した。
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