いつもそこに君がいた

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なに…この子 これって無意識? すっかり意表をつかれて この僕が 朝から動揺してしまったなんて …柄じゃないんだけど 『そっちこそ… 朝からこんなの反則でしょ』 『こんなの…? あたし…変な事言った?』 全く意味がわかりません みたいな顔して 君みたいなツンデレちゃんが 無意識に発する言葉程 威力が倍増するって事 わかってない 『何でもないよ ほら…っ…早く食べるよ 遅刻したくないでしょ?』 『…あっ…そうだった 飲み会の次の日に遅刻なんてしたら何言われるか』 遅刻しなくても きっと…言われる 昨日の一件 かなり大勢の中でやらかしちゃったから。 葵衣ちゃんが仕事しづらくならなきゃいいんだけど… そんな僕の心配を知ってか知らずか 目の前で 美味しそうにトーストを頬張る彼女に ━…プッ…━ 思わず笑ってしまう 『…ん、何?』 『…何でもないよ』 …何かあったら僕がフォローすればいい 元カレを公衆の面前で二流扱いした手前 一流の男ってのを見せないと カッコ悪いじゃない 小首を傾げて 不思議そうな彼女は 嬉しそうに 『ごちそうさまでした』 …と、手を合わせて エヘヘ…っと 少しだけ照れたように笑った
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