いつもそこに君がいた

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『先に行くから』 いつもより少しだけ早く出た琉生くんより 5分程後に家を出た私が 会社に着いたのは遅刻ギリギリだった 『おはようございます…』 『あ…っ…きたきた!!』 ……っ… オフィスの視線が一気に突き刺さる 想像はしていたけど やっぱり…ちょっと…怖いかも 琉生くん…人気だし 前に 恋愛感情否定した手前 昨日の一件は …バツが…悪い だけど 誤魔化しきれない 進展した彼との距離と …あたしの気持ち 素直になりたい 自分で望んだんじゃない ここで逃げたら… また昔のあたしと同じ 黙ったままで 他の誰かに 彼を譲る事になるなんて やっぱり…嫌 だから 『あの…っ…あたし…』 ━…っ…━ 『よかったね、葵衣ちゃん』 ……え…っ…? 『舞…さん?』 『もー…やっと…って感じだね』 女の子達の中から ヒョッコリ顔を覗かせて ぷく…っと頬を膨らませた舞さん 『あんなの見せられたら 見てるこっちが恥ずかしくなるっ』 『…まさに…入る隙なし…だったよね』 『なんだかスッキリしましたけど』 『…にしても 葵衣ちゃん、男運なかったんだねぇ でも、まぁここで取り返したからいいのかな?』 オフィスの先輩達が 思い思いの言葉を口にする 予想外のこの状況に あたしの頭の中は真っ白 だって 絶対…罵られると…思ってた どうして…?
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