いつもそこに君がいた

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朝の喧騒が漸く落ち着いてやっとデスクで珈琲を口にして一息 ふと…横にあるバックに目をやると 中から覗くスマホが 着信のランプを光らせていることに気づいて ━…あ…琉生くん━ 別に悪いことしてるわけじゃないけど 何となく隠すような仕草になってしまうのは まだ…こんな感じに慣れてないから。 社内恋愛なんて未経験過ぎて なんていうか… 気恥ずかしくて 落ち着かなくて …あたしは学生か? デスクの下で 素早く内容を確認すると 【そっちはどうだった? 何か…不都合なかった?】 琉生くん…心配してくれてたんだ あたしが他の子達に 何か言われないか 【ありがとう、大丈夫 覚悟決めてたんだけど 何でかな… 不思議なくらい】 今の自分の不思議な気持ちを正直に返信すると すぐに返ってきた返信は 予想外の内容で 【穂高がさ あの後、一肌脱いでくれたんだって 葵衣ちゃんが嫌な思いしないようにって 詳しい事は昼休みに話すよ 昼休み、屋上でね】 あの穂高くんが…? 普段いつも軽口ばっかり叩いてて 何にも考えてなさそうに見えるのに 本当は凄く優しくて思い遣りのある人なのかもしれない きっとこれは あたしの為…っていうより 大事な仲間 琉生くんの為だったと思うから そんな仲間思いの穂高くん 『よかったね!』 って、満面の笑みで喜んでくれた舞さん ねぇ…琉生くん あたし、今 凄く幸せだよ 素直にそう思える ありがとう そんな気持ちを与えてくれて どうか このまま幸せが続きますように。
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