★予習★

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はい、扉が開きました。 皆様、視界を御覧下さいませ。 今私達の目の前には霙嶺がいますね。 ………あ、私に気付きました。 そして嫌そうな顔をしています。 はい、恐らく今心で、 『ちっ…』 とか思っているのでしょうね。 ちなみに皆様の姿は見えない様になっております。 霙嶺の非現実な世界は変人を越して大変人のレベルですので、 霙嶺が息をする空間に皆様がいらっしゃり感染しない様にと私の術をかけさせて頂きました。 すると空間の歪みと術の関係で、 皆様の姿は見えなくなりました。 御了承下さいませ。 …さて、はい。 只今此所は霙嶺の部屋で御座いますが、 花柄がついた基本的に白の壁紙と天井ですね。 本棚には無駄な量の霙嶺の愛読書があり、 常に音楽を聴いている為、低めの洋服タンスの上に置かれたステレオの周りは、 常にCDが囲んでおります。 壁一面には、額を掛ける為の金具がついていますが、 霙嶺の母親の美容師免許と、弟の園児時の皆勤賞の表彰状以外は飾ってありません。 霙嶺はあんなので、小学六年生までは習字を習っていまして、 霙嶺の表彰状や水泳の段級の認定証もありましたが、 目障りだといって本人が外して仕舞いました。 部屋には弟のベッドもあるのですが、 夜中に十数回ベッドから落下する弟をベッドに戻すのに耐え兼ね、 霙嶺が苦情を出した為、ただ置いてあるだけです。 部屋の片隅には勉強机が置かれています。 ですが母親の妹の貴女から使っていた机であり、 霙嶺は引き出しを開ける際に稀に困っている模様。 そして机に沿って窓際に位置するのが霙嶺のベッド。 エアコンの風が真っ直ぐ来てくれるせいか、 霙嶺は疲れた日々、エアコンをつけるとベッドに寝転ぶ癖があります。 先程私に嫌な顔をしてからも、 霙嶺は寝転んだままです。 全く本来なら受験生なのですから勉学に励む巾ですが、 霙嶺は開いた本を顔に乗せて寝ることに最近ハマり出した模様。 学校の制服のままでいつも寝転んでいるのですが、 スカートにシワが入っていくのにすぐハンガーに掛けないのには困ったものです。 こんな状態だから彼氏も出来ないのです。 …! たった今私の脳内に彼氏がいるらしいとの報告が… 調べねばなりませぬね。
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