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その後のことはあんまりよく覚えてない。
フラフラとおぼつかない頭と足でどうやって家まで帰ったのか……。
好きな人の、自分以外の女の子とのキスシーンなんてショックでしかない。
龍はどう言うつもりで私をあそこに呼び出したんだろう?
ーーまさかっ!
あれを見せつけるため?
昔からイジメッ子だったアイツならやりかねない。
そんなに私をイジメて楽しいの?
……だとしたら、ヒド過ぎる。
気付けば、自分の部屋のベッドの上でわんわん泣いていた。
それからも、龍からちょくちょく連絡は来た。
けれども、もう何が何だかわからなくなった私は、徹底的無視を決め込んだ。
アドレスも変えて、着信拒否にした。
あの日以来、龍とは顔を合わせないようにしてきた。
龍……
昔はずっとそう呼んでいた。
アイツ、コイツ、アンタ……
そんな呼び方すら封印しようとしていた記憶。
もう、そんな風に目の前でその名を呼ぶことさえないと思っていた。
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