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気が付いた時にはもう、ふわっと何やら柔らかい感触が私の唇を掠めていた。
ほんの一瞬だけ……
でも、その時だけ時間が止まったようで……
少し薄めで、形のイイ唇が離れていくのをぼうっと眺めていた。
近付いてきた時は光のようなスピードで、離れていく時はリモコンでコマ送りした時のようにゆっくりーーー
「何、今の……?」
データが飛んだパソコンのようになってしまった頭に……
自分自身にも確認するように、機械的に問い掛ければ、
「何って、キスだろ?」
薄ら笑うようなコイツの声が返ってきた。
「何で?」
やっと動き始めた頭の中は、今やその言葉で埋め尽くされている。
それと、身体中が脈打つようにやけに胸が騒いでいる。
平静を保とうと、気付かれないように小刻みに呼吸を繰り返しながらまた機械的に問い掛ければ、
「あー、リハビリ?」
「!!?」
そうあっけらかんとコイツは私に言い放った。
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