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二人の体が揺れる度に、マットレスの軋む音が部屋中に響く。
それがなんだか恥ずかしくて、ギュッと瞑った目に力を入れると、
「舞?」
「……ん?」
「好きだよ」
顔中に降り注ぐキスの雨。
チュッ、チュッと音を立てながら囁やかれるのは……
「舞は?」
「……何?」
「言ってくれないの?」
「……え、あ……?」
「言って」
「……す…きっ」
……甘過ぎて反則かも。
薄っすらと額に滲む汗。
ふと目を開けると、張り付いた髪の毛を撫でるように除けてくれた龍と目が合った。
やっぱり恥ずかして、思わず顔を背けると、クスリと小さく笑った龍の声が耳を掠めた。
ーーその時の私は、まるで夢と現実の狭間にいるような感覚だった。
サナギだったイモムシが、蝶に変わる瞬間。
私の内側から飛び立った白い蝶がふわりふわりと浮遊する。
どこかへ流されそうになる体を繋ぎ止めたくて、必死で龍の首に両手を回すと、
龍の背中越しに見たそれは、光を透したプリズムのようにキラキラと輝いていた。
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