第一章

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家から約45分。なんとなくこの距離を歩いて登校している。家といっても安価なマンション(?)だが。 眞樹が通う学部は、「大和瑠璃高校付属中学能力開発特化部門」。名前の長さは作者も嫌うレベルだという噂だ。 この学校はかなりの名門校と聞いたことがある。 中学の時に「ここに入れば自分の能力わかるかなー」なんて甘い気持ちで入ってしまった。 そのくせ、能力を一回も使わずにペーパーだけで合格してしまった。 ――校長がこんなことは初めてだなんて焦ってたことは知る由も無い。 本人はあの時はレベルが低かっただけと思ってるらしいが。 名門校だが、学生の人数は思いのほか少ない学部である。 8クラス構成の1クラス20人である。それが6学年の留年あり。よって960人前後の学部である。 なのに校舎は高価で広いという。 「さすが、名門校だ。」 眞樹は校門を見つめながら呟いた。中に入れば誰もいない退屈な学校生活の始まりである。 日にちは4月5日。新入生対面式とかふざけた式典まで後、14日。 今は午前授業とともに、高校生のみ午後は式典の準備という悲劇である。 記念すべき高校一年一学期初日、眞樹の初ゼリフは 「帰りてぇ。」 となった。
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